How I work(勝手版)

How I work(勝手版)

2017年1月6日

ライフハッカー[日本版]の新年特集「HOW I WORK」特別編に、僕が一方的に心のオアシス感を持ってしまっているぐらいに尊敬している吉沢さんが登場しました。質問はビジネス寄りなのに、どこかしら生き方を感じさせるなぁ、あぁいいなぁと思いながら読ませていただいていたら、僕の名前が出てきてしこたま驚いたので、いきおい勝手に僕も質問に答えてみましたよ。

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玉樹真一郎(たまき・しんいちろう)
東京工業大学・北陸先端科学技術大学院大学卒。プログラマーとして任天堂に就職後、プランナーに転身。全世界で1億台を売り上げた「Wii」の企画担当として、企画・開発すべてに横断的に関わり「Wiiのエバンジェリスト(伝道師)」「Wiiのプレゼンを最も数多くした男」と呼ばれる。2010年任天堂を退社し青森県八戸市にUターンして独立・起業、「わかる事務所」を設立。2011年5月より特定非営利活動法人プラットフォームあおもり理事。2016年4月より八戸学院大学・学長補佐/ビジネス学部特任教授。

居住地:青森県八戸市
現在の職業:企画コンサルタント/作家/特任教授/理事…めちゃくちゃです。
仕事の仕方を一言で言うと:掘る
現在の携帯端末:iPhone6s
現在のPC:MacBook

1. 「これがないと生きられない」アプリ/ソフト/道具は何ですか?

tumblrです。面白いコンテンツを意識的にまとめるのではなく、無意識に心が動いた瞬間をシンプルに切り取っている感じが他メディアに無い魅力で、特に「自分は何が好きか」を観測するための素材として優秀だなぁと感じています。ランダムなのも楽しいですね、自分のニオイがする(自分の趣味に近い)コンテンツばかり見ていると気が滅入ってしまうのです。

2. 仕事場はどのような環境ですか?

自宅と研究室にデュアルディスプレイ環境を作っています。音楽を聞きながらでなければ仕事ができない体なので、それなりのスピーカーを置いていますが、それ以外はかなり殺風景です。むしろ「殺風景なのに、ここから面白いものを作れたら、かっこいいなあ」と妄想しながら意識的に殺風景にしているかもしれません。

3. お気に入りの時間節約術は何ですか?

時間を短く仕事をすることは幾度となくトライしてきましたが、どうしてもうまくいきませんでした。情けない話です。恥の多い人生ですが、今唯一強く信じているのは、どうしても仕事がうまくいかない時・間に合わない時は「帰って寝るのがベスト」だ、ということです。帰って寝ることが出来る時は、帰って寝る時がベストである。しかし、帰って寝ることに思い至れないような時は…奥さんに謝ってからひたすら仕事します(笑)。

4. 愛用している、仕事をうまく進行させるためのツール(ToDoリスト、アプリ、道具など)はありますか?

iOS標準の「メモ帳」と、付箋です。すぐには解けない問題や気付け無い感覚も、無意識が24時間勝手に考えてくれて、ランダムに意識へと浮かんできます。それを瞬時に詳細に記録することが、意識的な存在としての僕の役割なので、必死に記録します。iOSの場合、音声入力が便利ですね!

5. 携帯電話とPC以外で「これは必須」のガジェットはありますか?

「Quiet Control 30」です。ノイズキャンセラ付きイヤフォンで体のセンサーに蓋をして、ずぶぶと深く思考に潜ったり、作業に集中したりします。これを持っている時なら、空き時間が15分しかなくても仕事ができそうな気がします。短い時間に対して「仕事ができそうだ」と思えるかどうかは、かなり重要な気がしています。特に、早く帰るためには。

6. 仕事中、どんな音楽を聞いていますか?

どんな音楽でも聞きますが、必死な時は中学生の頃から聞いていたポップスを聞きます。うまく集中できると、音楽から歌だけが消えてくれます。メロディは残るから不思議です。歌だけが消えてくれるかどうかは、集中のバロメータになってます。

7. 仕事において役に立った本、効果的だった本は何ですか?

最近だと村上春樹の『職業としての小説家』です。

さて、前段として聞いていただきたいのですが。本当に新しく、誰かの役に立ち(傷つけず)、自分もしあわせになれるようなアイデアを考えたいといつも思っているのですが、そんなもの、簡単には思いつかないです。一定のセオリーやロジックや公式でポンと出て来るものほど浅いアイデアで、どうしても血肉にならないのです。血肉にならないアイデアは、自分で実現しようと思えません。企画を専門とする者として、人にやらせるだけで自分は関与しないアイデアだけは出さないという倫理観を持って仕事をしています。

さらに前段なのですが(まだるっこしくて、すいません)、本当に新しいことというのは、現時点では世の中に無いものを指しますから、まさに0→1、無から有をつくりだすわけです。それって実際のところ魔法のようなもので、例えばiPhoneのような市場を変える新しい商品を目の前にすると、頭がボーッとするような変にピリピリする興奮を感じます。ユーザが「自分というシステムが根本から変えられる」と感じ、かつ「自分しか体験できない」と思えること。それを世界に供給するのが企画屋の仕事だと思います。

その辺の感覚が赤裸々に書いてあるように読めた本です。

8. 現在、どんな本を読んでいますか?

哲学・論理学・心理学・認知科学(脳科学)・文学・宗教学・神話学・脚本術・ゲーム・プレゼンテーション・デザイン・ビジネスあたりのテーマの本が9割で、残り1割はマンガ(いまさらながら伊藤潤二は面白いですね)とプログラミング関係の本です。9割は研究と執筆のため、1割は趣味です。

9. 睡眠習慣はどのようなものですか?

いまだに布団で寝れません(涙)ソファで寝てしまうことが多く、奥さんとこどもに怒られます。就寝は0〜2時、7時過ぎに起きます。家族がいてくれるおかげで起床時間が定まってくれました、明らかに人生が好転した感じがします。寝る時はかならず体の左側を下にして横向きで寝ています(逆流性胃腸炎に良いらしいですし、その他たくさんの理由から理にかなっているらしいです。実際、僕はいい感じです)

10. 仕事をよりよく進めるために「習慣」にしていることはありますか?

(今は楽しくなかったとしても)将来楽しくなった時のことを、妄想しすぎて本当に興奮してしまうまでイメージし続けること。
(今は意味がわからないとしても)縁を大切にすること。
(今は今のことだけで精一杯だとしても)長い時間についてイメージすること。
(今、手元にある素材が心もとないとしても)順番や組み合わせを変えたら面白くなるかもしれないと注意深く見つめること。
(今、混乱してしまっているとしても)まずは紙とペンで絵や形をかくこと。

11. いまお答えいただいている質問を、あなたがしてみたい相手はいますか?(なぜ、その人ですか?)

こんな話って、きっと誰に聞いても楽しいですよね… それにしても、僕はこういう質問をされると「あぁ、いい答えを言わなきゃ!」とあたふたしてしまう人間なので、逆に肩の力が良い感じで抜けている人に憧れます。というわけで、肩の力の抜け具合の良い皆さんの話を聞いてみたいと思いまして、厳選してイメージしてみました。(五十音順にお三方)

・金入 健夫 さん:私の地元・八戸の経営者であり、東北の民芸や文化を担うプロジェクト「東北STANDARD」で飛ぶ鳥を落としています。めっちゃくちゃ軽快で仕事が早くて、人柄がステキすぎます。どんな働き方をされてるのか、めちゃくちゃ興味あります!
・徳谷 柿次郎 さん:「ジモコロ」の編集長をされています。面白くて頭が良くてかっこいくて、従兄弟のお兄さん的な憧れを感じてしまいます。最近バーグハンバーグバーグさんを辞められました。どんな興味を持って、どんな働き方をされているのか知りたいです!
・横石 崇 さん:Tokyo Work Design Week を主催・運営されてます。人が集まる人といえば横石さんかと思います。最近 &Co.(アンドコー)という会社を興されて、まさに誰かとともに働くという働き方の最前線にいらっしゃいます。「いっしょに働く」の極意、聞いてみたいなぁ…

12. これまでにもらったアドバイスの中でベストなものを教えてください。

直接アドバイスしていただいてはいないのですが、故・岩田社長の「コミュニケーションがうまくいかない時、人のせいにしないと決めた」という言葉には本当に励まされています。腹をくくるということの意味が、この言葉でやっとわかりました。

13. 2017年の抱負や力を入れて取り組んでいきたいことについて教えてください。

執筆中の本(テーマは「プレゼンテーションとゲーム」)をまとめながら、今の僕が本当に考えたいこと、すなわち「わかる」という体験を作る技法について集中したいと思っています。今のお仕事、企画コンサルティングも、講演やセミナーも、教育も、すべてはここに収斂していくのが自分でもわかって、すごくどきどきしてます。

14. 最近購入したものの中から、特に気に入っているものがあれば教えてください。

PS4です。ゲームって本当に面白いです!奥さんと「The Last of Us Remastered」やら「アンチャーテッド」を遊んだんですけど、すごく楽しかったなぁ。夫婦でキャーキャー言ってます、子供が寝た後に。

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以上となりますー。