ああ、書いてしまった(Zシリーズへのリクエスト)

ああ、書いてしまった(Zシリーズへのリクエスト)

2020年2月14日

知り合いから書けと言われたので書きます…いや、実際のところ、本当は書きたかったけど書かずにいたといいますか…

Z6を触った後の、リクエストです。

優先度A:デュアルスロット対応

個人的には要らないんですが。じゃあなんで優先度Aなのよ? と思われますよね。すいません。

昔からシングルスロットだったし、メディアが壊れたことも幸いなことに一度もありません。さらにZ6はSDカードよりも堅牢なXQDを採用しているので、なおさら一切の不安なく使ってます。

しかし、いかんせん「デュアルスロットじゃないければプロ機じゃない」というネットでの指摘が強烈で。実際にプロの契約ではデュアルを求められる場面も多いと聞きますし、メディアがダメになって涙を飲んだ経験がある方なら死活問題でしょう。

プロの方、二度と悲しい思いをしたくない方、そして僕みたいな人間も、みんなが平和な気持ちでZシリーズを使うためにも、デュアルスロットに対応してほしいなぁと思います。それでも僕個人としてはシングルスロットで十分で、買い替え動機には100%ならないんですが、いずれデファクトスタンダードになりそうなものは早めに対応しておいたほうが吉というものです。

また、似た話では「縦グリップ対応」もありますね。これも僕はまず使いませんが、ラインナップしてあるだけで安心感が違います。

後述する名付けの問題とも関連しますが、Zシリーズはマーケティングが惜しいところがあって。総じて手にとって見ると良いカメラなんだけどなぁ…もったいない!

優先度A:瞳AF使用可能なAFエリアモードとシングルAFの切り替えボタン

瞳AFについては、逆に「プロで使っている人は少ない」と言われる機能。でも、こどもを撮るには便利だし、あって困るものでもないので、活用したいなぁと思うところ。

この機能、現状ではオートエリアAFというAFエリアモードの時しか動かないので、いちいちAFエリアモードを切り替える必要があります。この切替には最短でも4手かかります。たとえば、ファンクションボタンを押す、ダイヤルを回す、適切な位置を確認してダイヤルを止める、ボタンを離す。他にもiボタンから変更する方法やMENUボタンから変更する方法もありますが、手数は減りません。これは手軽とは言えないなぁと思います。

ソニーさんのαのように他モードとなめらかに統合されるか、1手(2つのAFエリアモードをトグル、もしくはボタンを押している間は別AFエリアモード)で切り替える手立てを作るべきでしょう。どうやら別の新しい機種では後者に対応しているらしいので、次は対応してもらえそうです。対応コストも前者より安そうですし、後者で瞳AFを切り出してもらったほうがスッキリとして、個人的には好みです。

ちなみに、僕はU1にシングルAF・A優先、U2にオートエリアAF・A優先を設定しています。一応左手だけでモードを切り替えられるんですけども、やっぱり4手かかってしまいます(左手をモードダイヤルを操作可能な位置に持ってくる、ロックボタンを押す、ダイヤルを回す、左手をもとに戻す)。むー。

優先度A:4K60フレーム動画・ProResRAW対応

ここ4〜5年の僕個人の動画視聴環境を考えると、8Kよりも4K60フレームのほうが優先度高いように感じます。また、これも僕個人のニーズですが、ProResRAWをボディ内で撮れたら最高です。今のZ6は4K30フレーム+ProResRAW外部録画対応、それぞれが一歩ずつ前進する(この一歩が極めて大変なことは容易に想像がつきますが)、これが個人的にはベストな解です。

といっても、データの読み出しと転送速度ばかりはカメラメーカーさんにも決められない技術トレンドが最も支配的な要因なので、いちユーザの僕はお茶を飲みながら待つばかりです。

それでもキャノンさんのEOS R5の8K対応宣言はインパクトがあって、わくわくします。元メーカー勤務としては排熱が心配ですが、きっとキャノンさんなら! という期待が心配をはるかに上回ってます。ソニーさんも間違いなく追従してくるでしょうし、動画分野で一日の長があるパナソニックさんの動向も楽しみ。

いやはや、ここまでくると、もはやミラーレスは業務用カメラと変わりなくなってきましたね。でも、あまりにスペックに偏りすぎると一般ユーザが置いてけぼりをくらってしまうので、いい塩梅の落とし所を見つけつつ、低価格化・コンパクト化に専心するタイミングをつくっていただきたいところ。Vlogが一般化してきてる昨今、カメラ業界全体に大いなるチャンスが巡ってきているように感じます。

優先度A:電源ON、充電、データ転送周り

電源ONから撮影OKになるまでの起動時間を短くしてほしい、電源ONの時もUSBから充電したい、USBを指したらすぐに外部ドライブとして認識してほしい。

ありきたりですね。すいません。実際のところ、ほぼ実害ゼロなんですが、なんとなく「電源周りやデータ転送周りが一昔前の電化製品っぽいよね」感が無きにしもあらず、もうちょっとモダンなデバイス感がほしいかな? という感じです。

あ、でも、撮影したそばから画像をスマホに転送してくれるSnapBridge、これは優秀です。

撮ってすぐ見せられるので、奥さんのテンションも上がります。僕は撮影した画像をとりあえず全部スマホ(iOSの「写真」アプリ)に入れてしまって、そのままアーカイブ化してしまいます。一方RAWは(僕はRAWでしか撮影しません)、PCに保存・選別・加工しています。事前にいったんすべての写真を保存しているおかげで、RAWを躊躇なく消せるのが利点です。ハードディスク的にも大助かり!(RAWは撮った枚数の3/4程度は消すようにしています)。

優先度B:Zマウントの公開

これはビジネスモデルの根幹に関わるので、おいそれとは実行できないことは重々承知の上で。

そもそもZマウントはフランジバックが全マウント中最短なので、あらゆるマウントのレンズをアダプタ経由でつなげる夢のマウント。僕も各種アダプタをわくわくしながら眺めてます。だから、実際のところ、ほとんどのレンズはZマウントで使えるようになります(はず)。けれど、最初からZマウント向けに作られたレンズが少ないというのは、やっぱり悲しいですよね。例えるなら、任天堂のゲームしか出なくて悲しいN64みたいな風情です。(このたとえを使うと、現在のソニーさんの隆盛も説明できちゃいますが、話が逸れるので割愛)

市場のニーズ的には、シグマさん・タムロンさんあたりからZマウント(同時にRFマウントもほしい)が出るだけで、ガラリと雰囲気が変わりそうな気がします。特例的でもいいので、ごく一部のスペックでもいいので、レンズを作ってもらえればなぁ。ビジネス的・経営方針的にオトナな抜け道を作れないものかしら、市場の声・株主の声をうまく活用して組織的な意思決定をしていただければなぁ。

とはいえ個人的には、ニコン純正のZマウントレンズのクオリティが高く、思いのほか好きになってしまったので、とりあえずは気長に待っていようと思います。どうせお金もないので大丈夫です(つよがり)。ちなみにこの記事の写真は Nikkor Z 50mm f/1.8 S で撮ったものです。

優先度B:ボディ内手ブレ補正+レンズ手ブレ補正

キャノンさんのEOS Rシリーズがボディ内手ブレ補正に対応することで、一気にこの2つの手ブレ補正がデファクトスタンダードになる可能性が跳ね上がりました。実際のところ、何を撮るかによっては手ブレ補正はむしろ邪魔になったりもしますが、でもやっぱり「何でも手持ちで取れそうな気がする」というベネフィットは強烈で、ユーザの購買欲をおおいに刺激してくれることでしょう。僕もクラクラきてます。

ただし、手ブレ補正は「動作している場面を見るだけでは効果がわからない」機能でもあるので、いかに手ブレ補正が効いているかを簡単に体験できると良いなぁと思います。技術的に相当無理があるお話ではありますが、電気屋の店頭でパシャリと撮ったとき、補正ナシ版と補正アリ版が並列に表示されるような機能があればなぁ…なんて夢想します。キャノンさんのカメラがいかにイノベーティブなものか、大いにアピールできそうです。

この分野、おそらく知財のカタマリだと思うので、各社ゴリゴリ研究を推し進めていただけたらユーザとしてはしあわせです。

とはいえ、実のところ、現状のソニーさん、ニコンさんなどのカメラをさわってみると、ボディ内手ブレ補正のみの場合でも、レンズ手ブレ補正のみの場合でも、十分に手ブレ補正は効いてくれることがわかります。たとえば上下左右にカメラを振りながら撮っても、かなり撮れてしまいます。驚きです。ボディとレンズ両方の手ブレがなければダメだなんて考えず、それぞれの好みのプラットフォームで撮影を楽しむのが粋というものでしょうかね。

優先度B:AF精度ではなく、AF表現

個人的にはZ6のAF精度には大満足です。市場的には圧倒的にソニーさん優位と言われている領域ですが、撮影結果を見ると案外変わりがないと言いますか、かなりハイレベルな領域に全メーカーさんが突入しているといいますか。瞳AFにおいても、実際に合焦したかどうかを調べてみると案外差がないという検証結果もあったりして、だよなぁと納得しながら見ています。

しかし、ソニーさんが素晴らしいのは、撮影中のAFの表現。カーソルが瞳にねっとりと張り付く感じを見ると、あぁこれは良いものだと心から思います。カーソル移動の細やかさ・フレームレート・アルゴリズムによる判定のしきい値・瞳や顔が無いと判定した時のアニメーションとの連続性…などなど、などなど。無数の要素をデザインしなければ、触り心地の良さは生み出せません。このあたりは、やはりソニーさんの得意分野。何の迷いもなく軍配が上がります。

一方、ニコンさんの特徴・味として、カメラはユーザの命令を受け、忠実に実行するものという考え方があるような気がしています。だからこそ、AFにしてもギリギリまで控えめに表現しているといいますか。この考え方自体は好きなのですが、しかし、シングルフォーカスと瞳AFは根本的にニーズが違います。前者は「俺の合わせたいところに合わせろ、言う通りにしろ」、後者は「目に合わせたいけど手では合わせられないから、機械のお前に合わせてほしい、頼む」。前者は控えめなUIで良いと思いますが、後者はUIの設計思想から変えなければいけないはずです。

僕個人としては、ほとんどシングルフォーカスでしか写真を撮らないので、あまり瞳AFは必要ないのですが、動画となると別の話です。もっともっと楽しくできる機能だと思います。

優先度C:高解像度化

どれだけチップが高度化しても、光の量は変えられません。だからこそ、高解像度化は必ずしも100%善というものではありません。実際、Z6は暗い場面に強いのですが、それって解像度を抑えて、1ピクセルあたりの光の量を確保しているからですもんね。

しかし、だからといって「高解像度化はいらん」という話になるわけでもなく。

写真を印刷して楽しむ場合であれば、現状の解像度で十分だと思います。でも一方で、PCのディスプレイで楽しむ場合、高解像度化はまだまだ恩恵をもたらしてくれます。PCのディスプレイには、目の物理的制約から解き放たれて、自由に「写真を拡大縮小しながら見る」というあたらしい楽しさがあります。だからこそ、高解像度化はまだまだ役立ちます。

この領域ではやはりソニーさんが大きな優位性を保っています。しかし、勝手な推測なのですが、ソニーさんは高解像度の写真をPC上で楽しむためのソフトウェアが足りないと嘆いているんじゃないかなぁと想像しています。Apple が Aperture を止めてしまって以降、Adobe Lightroomの進化がイマイチ鈍足で(ごめんなさい)、PCで高解像度写真を楽しむ素地がまだ不十分に思えるんです。もちろんこの点、ソニーさんには全く非はなく、むしろ周りがついていけないほどのスピードで進化しているソニーさんの素晴らしさよ!と叫ぶほかありません。

拡大縮小する、世界を見渡したり、クローズアップして覗き込んだりするというのは、ものを見る生き物・人間に備わっている原始的な楽しみ。たとえばソニーさんがAdobeさんやスマホ系の会社さんと組んで、新しい写真の楽しみ方を提案してくれる…そんな未来を想像してはヨダレをたらしております。もはや写真は印刷するだけのものではないことは、誰が考えて明らかですから。

優先度C:レリーズ機能

非プロであり、かつ動くものをあまり撮らない私にとって、連射性能はまったく必要ない機能です。各社がんばられてますが、いらないなぁと思いながら見ています。

そんなことよりも、サイレント撮影時に「撮った手応えが無い」のが辛いので、新技術を求めてます。センサーを揺らさずに、音も光も出さずに、レリーズしたことを告知する方法。うーん、何があるだろう?

優先度D:「Z6」という名付け

いまさら、どうしようもない話ではあるんですが。

ここまで書いてみると、やっぱりZ6は「プロ機ではない」と改めて思います。無理やりプロ機だと言おう・考えようとするから無理が生じるんですよね。感覚的にはZ700・Z700S(フルサイズエントリーモデル)と名付けられていれば、しっくり来ます。(このあたりはベテランのニコンファンさんからすれば「ちがう、ちがう!」とお叱りを受けそうではありますが…)

Z50という名付けにはそこまで違和感がないですが、今後ボディ内手ブレ補正が入った時を考えるとZ3000(APS-Cエントリーモデル・バリアングルなし)という名付けもあったかと思います。

上記を整理すると、こうなります。Z一桁とZ二桁をまるまる空けられれば、Zの今後が楽しみになるし、現状のスペック上の問題とされている点もスッキリと受け止められたように思うんです。

  • Z0(一桁):フルサイズ・プロ機
  • Z00(二桁):APS-C・ハイアマチュア〜プロサブ機〜プロ機
  • Z000(三桁):フルサイズ・エントリー〜ハイアマチュア〜プロサブ機
  • Z0000(四桁):APS-C・エントリー〜ハイアマチュア機

たかが名前、されど名前。もしZ700・Z700Sと名前がつけられていたら、今頃Z6・Z7ユーザは「こんなに良い写真が撮れてプロ機じゃないってんだから、プロ機はどんなのが出てくるんだ?」とわくわくしてたんじゃないかなぁと思います。(ちなみに、最新のデジタル一眼レフ・D6も、中身はD5s的だと言われていたりもしているようです。完全リニューアルしたAFがどうなるかが未知数なので正しいかどうかは別として、スペック的にはD5s感があるということらしいです)

ここのところ立て続けに発生している告知ミス(ホームページでの表記ミスやスペックの誤記)然り、名付けの背伸び感然り、ユーザとのコミュニケーションのところが最近のニコンさんの鬼門のようも思えます。カメラ自体はすごく良いもので、僕自身も100%楽しんでいるので、本当に惜しい。

おわりに

あぁ、一息で書きなぐってしまった…もし読まれて気分を害される内容だったとしたら、心よりお詫び申し上げます。あまりカメラについて語る場面が無く、つい書き散らかしてしまいました。それもこれも、すべてはカメラが好きだから…ということで、どうかご容赦くださいませ。うちのZ6も、お宅のカメラさんも、実にいいものですよ。

また、念の為申し添えますが、この内容は私の「わかる事務所」としてのお仕事とは一切関係のない、個人的なものです。